かずひさ

【四柱推命】命式の作り方

四柱推命において、全ての判断の基本となるのが、命式(めいしき)です。

四柱推命では命式にあらわれている8つの文字を基に、運命の吉凶禍福を論じます。この8つの文字は『四柱推命とは』で述べたような、その人の持って生れた時間を可視化したものであり、四柱推命において、最も重要な要素です。

8つの文字を対象となる人物の分身として、これを観察することで、その人の運命がグラフとなって見えてきます。

8つの文字で占う占術であることから、四柱推命は中国や台湾では「八字(パーツー)」と呼ばれています。実のところ、「四柱推命」という呼び名は日本独自の呼び名です。

四柱推命の他の呼び名としては「子平術」などがあります。子平術と呼ばれるのは、中国の宋の時代(960年~1279年)の徐子平(じょしへい)という人が、現在の四柱推命の方法論を築いたためです。四柱推命の原型にあたる誕生日を基にした占いは紀元前からあったと言われていますが、現在の四柱推命のように日主(生まれ日の十干)を自分自身と見立てて推命するやり方は、徐子平が発明したといわれています。

命式とはどんなものか?

命式とはどういったものかを簡単に説明すると、対象人物の誕生日を干支(えと)に置き換え、それを並べたものを命式といいます。

したがって、先ずは誕生日を干支に置き換えなければなりません。

どうやって誕生日を干支に置き換えるかというと、暦(こよみ)を使います。東洋の時間概念では、年にも月にも日にも時刻にもすべて干支が当てはめられています。暦を使って、自分の生れた年、月、日、時の干支を調べて、書き出せば命式は完成します。

たったそれだけのことですが、あせってはいけません。単に年、月、日、時の干支を出すだけでも、それに至るまでに、幾つかの約束事があります。この記事では諸々の注意点をふまえた命式の作成方法を順をおって説明します。

「年」「月」「日」「時」を干支に置き換えてみる

干支暦は近代以前はポピュラーな暦法として浸透していたようですが、現在の日本では、西洋の時間概念が一般的ですので、馴染みは薄いかもしれません。

2018年は干支暦でいうと戊戌(つちのえいぬ)年ですので、今年生まれた人は命式の年柱に戊戌の二文字がそのまま入ります。同じ要領で年月日時すべてに干支は当てはめられており、二時間ごとに刻々と切り替わっています。

例えば、この記事を書いている現在の時刻を干支に置き換えると次のようになります。

2018年4月20日13時30分(補正時刻:13時34分)
大阪府枚方市

つまり大阪府枚方市における2018年4月20日13時30分は、干支暦に置き換えれば、戊戌年、丙辰月、壬午日、丁酉時という表記になります。

実はこれがこのまま命式になります。世界の何処かで今日この時間に生まれた人は、上記のような命式を持つことになります。

今はまだ意味がわからなくてもかまいません。こういう感じのものだということを見て知っていただくだけで構いません。

命式作成に必要なもの:暦(こよみ)

命式作成には暦(こよみ)が必要です。しかし、書店などで通常売られている暦はその年の暦ですので、自分が生れた年の情報は載っていません。

そこで一般的に、四柱推命で命式を作成するにあたっては『万年暦(まんねんれき)』が使われます。万年暦は四柱推命や紫微斗数などの占術のために作られたもので、その名の通り、あらゆる年の暦が一覧できます。筆者の使用しているものは東洋書院の『吉象万年暦』で、1912年~2048年までの暦が連綿と記されています。これを参照すれば、自分の命式は一発でわかります。慣れてくると、別紙に命式を書き起こさなくても、万年暦を眺めながら推命する事も出来ます。

こうした万年暦は地方の書店では手に入り難いでしょう。占い関係の専門店か、都市部であっても、JUNK堂や紀伊国屋書店に有るか無いかといったところです。しかしAMAZONを利用すれば容易に手に入ります。

精解 吉象万年暦―気学、紫微斗数、推命、断易活用 大正元年(1912)‐平成80年(2068)

命式作成ソフトをおすすめしない理由

近年ではソフトウェアを使う方法もあります。ソフトウェアには、皇龍などのパソコンにインストールして使うソフトウェアをはじめ、ネット上で命式を出してくれるサイトもあります。

しかしあくまでも最初はソフトウェアに頼らず、万年暦を使う事をおすすめします。なぜなら、ソフトウェアを使用していると、暦の面白さがいつまで経っても理解できないからです。

どういう事かと言うと、万年暦のページを開いて、時間の流れ全体を俯瞰してみるのと、計算で割り出されたその時間一点のみを見るのとでは、視野が異なります。四柱推命は連綿と続く季節の流れ、世界の時間の流れの中で、自分がどの位置にいるのかを相対的に捉えてゆく占術である為、計算で割り出された命式だけポンとそこにあっても、ダイナミックな占いを展開する事は出来ません。

実際に万年暦を眺めていると、ある時急に「そうか!」という「気付き」が生じます。しかし、すべて計算で割り出されるソフトウェアの画面を眺めていても「気付く」事はありません。

さらにソフトウェア自体が粗悪で間違った計算をしたとしても、それが間違っていると判断する事ができません。

したがって、命式作成ソフトは、四柱推命の理論を完全に理解し、頭の中に四柱推命の時間感覚がインプットされた段階に到達し、さらにプロとして鑑定を行う上での時間短縮のためという理由があって初めて使用を推奨します。

また、行運を見るときにはソフトウェアよりも万年暦の方が早い事もあり、実占で命式作成ソフトを使っているプロの方の多くは、万年暦も使っている方が多いと思います。

結局のところ万年暦は必須だといえます。

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命式作成に入る前に

命式作成に入る前に、幾つかの取り決めをしなくてはなりません。実は四柱推命には流派や考え方が、非常に多くあります。それぞれがそれぞれの主張を行い、自らの正当性を主張していますが、その中で私は特定の流派に属さず、理論としてより合理的な方法、実践する上でより信憑性のあると判断した理論を採用しています。

命式作成に関する取り決めとしても流派や占術家によって多種多様ですが、私は次の方法論を採用しています。

  • 数え年ではなく、満年齢を使う
  • 昭和、平成などの元号は使わず、西暦を使う
  • 立春をもって年の変わり目とする
  • 節気をもって月の変わり目とする
  • 午前0時をもって日の変わり目とする(夜子時)
  • 時差を採用する
  • 真太陽時を採用する

この取り決めがなぜ大事かというと、例えば、月の変わり目がいつなのかがわからなければ、自分が何月生まれなのかがわかりません。上記は命式を作成するうえで、一番最初の大事な取り決めといえます。

それでは各号に関する解説に移りましょう。

数え年ではなく、満年齢を使う / 昭和、平成などの元号は使わず、西暦を使う

一般的に東洋の文化では満年齢ではなく数え年が用いられます。日本でも、七五三参りや厄年などの人生儀礼は、数え年でその年令になったときに行われるという風習があります。台湾や中国などの四柱推命のテキストを見ても、ほぼ数え年が用いられています。しかし中には満年齢を採用したものもあり、私は満年齢を用いることを推奨します。

年の名称もここは日本だから昭和何年、平成何年など、元号を用いるべきだという声もあるかもしれません。しかし私は西暦を用いる事を推奨します。

なぜ私は満年齢と西暦を推奨するのかという問いについて、答えは単純に計算しやすいからという理由です。名より実を取ったに過ぎません。

実際に昭和60年生れの人が平成30年には何歳になるかを暗算するのは困難です。しかし西暦を使えば昭和60年は1985年ですから、この人は2018年には33歳になる事が単純な引き算でわかります。

四柱推命の本質は、数え年を使うか満年齢を使うか、あるいは元号を使うか西暦を使うかといった、表面的な様式美にあるわけではなく、自分や他者の運命を推し量るところにありますから、より合理的で扱いやすい理論があるならばそれを採用したほうが良いという考え方で、私は実践しています。

立春をもって年の変わり目とする

日本人が普段使うカレンダーでは、1月1日をもって年が変わります。しかし、四柱推命では農民暦を使いますので、1月1日を年の変わり目とはしません。

大よそ立春(2月4日前後)をもって年の変わり目としますが、これについては諸説あります。

どの時点をもって年の変わり目とするかの議論において、最も有力な説は「立春を以って年の変わり目とする説」ですが、これに対抗しうるもう一つの有力な説として、「冬至を以って年の変わり目とする説」があります。

冬至説の主張は次の通りです。冬至(12月22日前後)は一年で最も日照時間の短くなる日です。すなわち太陽のエネルギーが最も衰える日であり、数字を当てはめると最も小さい値、すなわち0になります。0という数字はそれ以下がもうありませんので、プラスの方向にしか変化しません。すなわちそれは始まりの数であり、年の初めを考えるうえで、冬至が適切であるという主張です。

日もまた太陽が最も衰える時間である夜中の0時に日付が変わる事からも、この冬至説を採用すれば理論の統一性が生れます。

これに対して立春説の主張は、一年の流れを見たとき、春は草木は春に芽吹き、物事が始まる季節ですから、誕生の季節として、これを年の始めと定めたのです。

大自然の生命は春に芽吹き、夏に旺盛となり、秋に枯れ、冬に仮死状態となる。春を誕生の季節として一年の始まりとするか、死を輪廻の開始点として、死の季節である冬を一年の始まりとするかの二説が双璧を成す。

私は冬至説には注目していますが、やはり四柱推命ではほぼ全ての流派で、立春説が採用されており、市販されているどのテキストでも、立春説が使われていますので、今後の研究課題ではあるものの、現段階では冬至説は棚上げしており、立春説を採用しています。

二十四節気における節気の始めをもって月の変わり目とする

暦には二十四節気(にじゅうよんせっき)という概念があります。二十四節気では一年を24等分します。一つの節気は24等分されたピザの一つのピースにあたります。節気にはそれぞれに呼び名が付されています。

二十四等分の方法について、二通りの理論があります。「平気法」と「定気法」です。「平気法」では、地球が太陽の周りを一周する時間(365.24219日)を24等分します。「定気法」では、太陽黄経を24等分し、(360°÷24=)15度づつに区切ります。


出典:国立天文台ホームページ – 二十四節気の定め方

現在の暦ではこのうち「定気法」が採用されており、四柱推命においても、「定気法」が用いられます。

二十四節気表

節気 / 太陽黄経

    1. 立春(りっしゅん) / 315度
    2. 雨水(うすい) / 330度
    3. 啓蟄(けいちつ) / 345度
    4. 春分(しゅんぶん) / 0度
    5. 清明(せいめい) / 15度
    6. 穀雨(こくう) / 30度
    7. 立夏(りっか) / 45度
    8. 小満(しょうまん) / 60度
    9. 芒種(ぼうしゅ) / 75度
    10. 夏至(げし) / 90度
    11. 小暑(しょうしょ) / 105度
    12. 大暑(たいしょ) / 120度
    13. 立秋(りっしゅう) / 135度
    14. 処暑(しょしょ) / 150度
    15. 白露(はくろ) / 165度
    16. 秋分(しゅうぶん) / 180度
    17. 寒露(かんろ) / 195度
    18. 霜降(そうこう) / 210度
    19. 立冬(りっとう) / 225度
    20. 小雪(しょうせつ) / 240度
    21. 大雪(たいせつ) / 255度
    22. 冬至(とうじ) / 270度
    23. 小寒(しょうかん) / 285度
    24. 大寒(だいかん) / 300度

:節気
黒:中気

太陽黄経を見たとき、太陽黄経が0度となるのが春分です。そこから15度づつ傾くごとに、次の節気に移ります。前の節気から次の節気に切り替わる瞬間を節分と呼びます。

四柱推命において、月の変わり目は二十四節気を「節気(せっき)」と「中気(ちゅうき)」に分けたときの「節気」の始まりを以って月の変わり目とします。

上の表で赤で記した部分が節気になります。節気が始まる時刻は年によって異なり、詳細な時刻は万年暦に記されています。万年暦の見方は後ほど説明します。

午前0時をもって日の変わり目とする(夜子時)

日の変わり目について論じる前に、時刻の概念について説明する必要があります。東洋の暦では時間もまた干支で表されます。

たとえば、朝の8時は、辰(たつ)時になります。現代では馴染みがありませんが、時代劇などで知っている人もおられるでしょう。昔は何時かと聞かれたら、「午(うま)」とか「申(さる)」とかいいました。

「おやつ」という言葉があります。これは昔の日本では食事は一日二食が基本で、それではお腹が空くので昼過ぎの「八つどき」に間食をとった事に由来します。「八つどき」とは十二支の八番目にあたる未(ひつじ)のことで、13時~15時にあたります。それ以降、間食の事をおやつと呼ぶようになりました。

干支の時刻表

  • 子 23時~1時
  • 丑 1時~3時
  • 寅 3時~5時
  • 卯 5時~7時
  • 辰 7時~9時
  • 巳 9時~11時
  • 午 11時~13時
  • 未 13時~15時
  • 申 15時~17時
  • 酉 17時~19時
  • 戌 19時~21時
  • 亥 21時~23時

さて、表題の『午前0時をもって日の変わり目とする』ですが、これは四柱推命の諸流派間で、もっとも熱い議論がされている題材の一つです。大きく分けて二つの説があり、それぞれの説の支持者がそれぞれの主張をぶつけ合い、いまだ決着を見ません。

  • 子時(23時)をもって日の変わり目とする説
  • 0時をもって日の変わり目とする説

子時(23時)をもって日の変わり目とする説

四柱推命の多くの流派では子時をもって日の変わり目とします。子時とは23時~1時までの間の時間を指し、すなわち子時を以って日の変わり目とするということは、23時には日付が変わることを意味します。

これは、十二支の循環を厳格に重んじた説で、十二支は子⇒丑⇒寅⇒卯⇒辰⇒巳⇒午⇒未⇒申⇒酉⇒戌⇒亥⇒子と循環して子から始まり子に戻ってくるという、一連の輪を描きますから、一番最初の基点である子を一日の初めとしました。

子時はその中心を0時として、前後2時間の間隔を持ち、その2時間という時間のかたまりが子時であるという概念ですから、子時を一日の始まりとするならば、必然的に23時が一日の始まりとなるわけです。

0時をもって日の変わり目とする説

夜の0時を以って日の変わり目とする説は太陽の運行に基づいた、より合理的な理論であるといえます。その説明は次の通りです。

地球は太陽の周りを回転しています。地上から太陽を観測すれば、北半球では太陽は東から昇り、西に沈んでゆきます。太陽が軌道が描く中で、地上から見た太陽が最も高い位置に来る方角は南で’(南中)、その時刻を「正午」と呼びます。正午は午時(11時~13時)の中心である12時がそれに当たります。

一日のうちで正午が太陽が南の空の最も高い位置にきて、太陽から地上に降り注ぐエネルギーが最も強くなる時刻だといえます。反対に夜0時は太陽が地球の真裏に来た時にあたり、すなわち太陽から受けるエネルギーが最も衰える時刻だといえます。

0時は太陽が最も衰えた時であり、それ以上衰える事はありませんから、数字で言うと0を当てはめる事が出来ます。0は終わりであり、始まりであるため、0時は一日の終わりであり一日の始まりである、すなわち日付の変わり目であるという事ができます。

0時をもって日付変更とするのは現代人にとって馴染みが深い概念です。ところが四柱推命の文化では特殊な概念として扱います。0時で日付が変わる事を四柱推命では「夜子時(よるねじ)」といいます。

夜子時を採用するか否かで、命式はガラリと変わる

例えば9月29日23時30分生れの人が居たとしましょう。23時30分は子時です。

夜子時を採用せず、子時で日付が変わるのであれば、生れ日は次の日になります。対して、夜子時を採用し、0時で日付が変わるのであれば、その日のままです。

  • 夜子時を採用しない場合 ⇒ 9月30日子時うまれ
  • 夜子時を採用した場合 ⇒ 9月29日子時うまれ
「夜子時」とは日付が変わる前を夜、日付が変わった後を朝とすれば、日付が変わる前の夜の子時を認めるという意味で、そう呼ばれる。

後ほど日主の記事でお話しますが、四柱推命では生れ日を重視し、生れ日の十干を自分自身と見ますので、時間の見方によって生まれ日が変わるという事は極めて重大な問題です。

私はこの二者を比べた時、夜子時を採用する方に分があると思います。なぜなら理論として筋が通っていますし、実は私の妻が23時台生れなのですが、夜子時を使った場合のほうが、妻の人柄に当てはまります。このような実際の占いにおいても、夜子時の性能が裏付けられています。

四柱推命の伝統に従えば、夜子時は異端といえますが、近年、科学的な思考を試みる一部の占術家のあいだで認められ始めており、私もその流れに乗りたいと思います。

したがって、当サイトでは夜子時を採用します。

時差を採用する

例えば、この記事を書いている現在の時刻を時計で見ると、16時27分です。これは日本における時間で、例えばドイツの時刻を調べたら9時26分でした。このように日本とドイツの間には時差があります。

こうした時差があるのは、日本とドイツの距離が離れているためで、太陽は地球を回り、東から西へ順番に光を当てていくため、時差が生じるのです。

実は日本国内においても時差はあります。例えば北海道と沖縄では、2000~3000キロも距離が離れています。当然そこには時差が生じ、北海道での日の出の時刻と、沖縄での日の出の時刻は違います。

しかしながら、時計では北海道で16時27分ならば、沖縄でも16時27分です。実際の太陽の運行を見れば、日の出の時刻に時差はありますが、時計の時差はありません。

これは、日本国内で移動する度に時計の針を調整しなければならないよりも、時計の針は統一していたほうが都合が良いため、日本では全国一律で、時計の針を合わせています。

日本では、時計の針を合わせるのに日本標準時が使われます。これについては「東経135度の子午線の時をもって日本における一般の標準時と定める」と規定されており、兵庫県明石市にある日本標準時子午線の時刻を、日本全国に適応しています。

先ほど見た時計の時刻(16時27分)は、兵庫県明石市の子午線上における時刻です。

しかし、例えば兵庫県と東京都では、距離が離れており、その分、時差があります。日本とドイツのように何時間もの時差はありませんが、数分の時差はあるのです。

普段の生活において、国内の時差を考慮しなくても、何ら差し支えはありませんが、四柱推命においては、時差は非常に重要です。

人が生れたとき、産婦人科が生れた時刻を記録する際は、日本標準時が使われます。例えば沖縄県那覇市で、13時15分に生れた人が居たとしましょう。これをそのまま命式に書き込めば、13時15分は未(ひつじ)になります。しかし、兵庫県明石市と沖縄県那覇市との間には約29分の時差があり、那覇市は日本標準時より29分遅れています。この時差を考慮すれば、この人は13時15分から29分を引いて、12時46分生れとなります。12時46分は午時ですから、命式は変わってきます。

流派や占い師によっては、日本標準時のまま占う人もいます。しかし、自然に目を向け、暦が天体の運行を説明したものであるという基本に立ち返ったとき、時差を考慮しない事は決して合理的とはいえません。

したがって、時差は採用すべきといえるでしょう。

真太陽時を採用する

太陽が地球の周りを一周する時間は24時間です。私たちが普段使っている時計は時針が1周すると12時間で、2週したら24時間になります。つまり時計の針が12時からスタートして、2周回って12時に戻ってきたとき、太陽が地球の周りを一周したことになります。

しかし実際は時期によって、太陽が一周して元の位置へもどってくる時間は24時間ちょうどとは限りません。実は24時間という数字は一日の時間を一年分計測して平均した時間なのです。これを「平均太陽時」といいます。

時計は平均太陽時で作られているため、実際の太陽の動きと完全にリンクしているわけではありません。

理論上では正午を太陽の南中時刻と定めている為、時計の針が12時ちょうどを指したとき、太陽は南中しているはずです。しかしながら、兵庫県明石市の日本標準時子午線上で観測したとしても、時計の針が12時を指したときに太陽が南中しているとは限りません。

したがって、太陽が南中したときに時計の針が12時ちょうどになるように調整しなければなりません。

太陽が南中した時を12時ちょうどとする時間概念を「真太陽時」といいます。ある日の真太陽時を求めるには次のような方法で求められます。

ある日、太陽が南中した時、時計の針が12時10分を指していたとしたら、その日の真太陽時の正午は12時10分であることになります。つまりその日は12時00分が正午ではなく、12時10分が正午なのです。

12時10分が正午(12時00分)に当たるとすれば、12時00分は実際には11時50分という事になります。

太陽の南中時刻:12:10 ⇒ 12:00

時刻を補正:12:00 ⇒ 11:50

この例でいうと、ある人が母子手帳の記録上9時00分生まれだとしたら、真太陽時の時差を考慮すれば、実際には8時50分生まれという事になります。

現在、一部の先進的な占術家を除いて、多くの占術家は真太陽時は考慮しません。しかし、四柱推命が扱うのは太陽を基準とした時間です。

宇宙は生きています。季節ごと、日ごとに太陽の南中時刻は変わるのです。四柱推命を通して宇宙の摂理に触れたければこれを無視する事はできません。

前章で述べた地域間の時差を考慮したところで、さらに太陽の南中時刻の時差を求めなければ、真の時刻を計測したことになりません。

命式を作成する

以上の取り決めを踏まえた上で、ここからは命式作成に入ります。ここでは例題として、1985年9月24日14時10分大阪府大阪市生まれの男性を例にとって、命式作成の手順を説明したいと思います。

  1. 万年暦と紙とペンを用意する
  2. 紙に名前、誕生日、誕生場所、性別を記入する
  3. 補正時刻を計算し、書き込む
  4. 年柱、月柱、日柱、時柱を用意する
  5. 万年暦を開く
  6. 年のページを見て年の干支を紙に書き込む
  7. 月の列を見て月の干支を紙に書き込む
  8. 日の行を見て日の干支を紙に書き込む
  9. 時刻算出表を使って、時刻の干支を紙に書き込む
  10. 完成 – 命式を眺めてみる

STEP1:万年暦と紙とペンを用意する

命式を作るための必需品である万年暦と、命式を書き込むための筆記用具を用意します。紙はA4コピー用紙で十分です。なければチラシの裏でも構いません。

よくある四柱推命の教科書には占術家独自のフォーマットによる命式作成テンプレートが付属していますが、そうしたテンプレートは四柱推命の命式作成において、必ずしも必要ではありません。

逆にテンプレートに慣れてしまうと、テンプレートがないと占えなくなってしまうという問題があります。

テンプレートが無くても、命式の成り立ちと構造を理解していれば、いつでもどこでも、万年暦と書く物さえあれば、手帳でも、新聞の広告の裏でも命式を作ることができるほうが自由度が高く、四柱推命をより楽しむ事ができます。

STEP2:紙に名前、誕生日、出生地、性別を記入する

まず誰の命式かわかるように名前を記します。この癖をつけておかないと、複数の人を占ったとき、どれが誰の命式かわからなくなります。

次に誕生日を記します。「年」「月」「日」「時」「分」まで記入します。

もし「時」「分」がわからなければ、書かなくてもかまいません。四柱推命は生まれ時刻がわからなくても、ある程度は占う事ができます。パーセンテージでいうと「年」「月」「日」「時」の四柱揃った場合に100%として、一柱が25%を占めますので、「年」「月」「日」の三柱でも75%の精度で占うことが出来ます。しかしながら100%に越したことはありませんので、「時」「分」がわかる方が精度は高いです。

ここでは出生時に医師が記録した、母子手帳に記されている標準時の時刻を書きます。

次に出生地を記します。出生地は主に時刻の補正に必要になります。生まれ時刻がわからない人を占う場合は、あまり重要ではありません。

次に性別を記します。これも忘れがちな項目です。性別は命式を判断するうえで非常に重要であり、また性別がわからなければ後述する大運表を作成できません。必ず記入しましょう。

STEP3:補正時刻を計算し、書き込む

まず出生地の時差を修正します。日本標準時から見た大阪府大阪市の時差は+2分でした。

次に真太陽時からの時差を修正します。9月24日は+8分でした。

したがって合計+10分を加算し、補正時刻は14時20分となります。わかりやすい場所に「補正時刻:14時20分」と記します。

もし補正して日付が変わるのであれば、変更した日付も記します。人によっては月や年も変わる事もあります。時刻を補正するだけで、すべてが変わる可能性があるのであれば、時刻の補正がどれほど重要か理解できると思います。

時差は表で求める事ができます。

(表は現在準備中)

この人の補正後の完全な誕生日は1985年9月24日14時20分生まれになります。

それでは命式を完成させてゆきましょう。

STEP4:年柱、月柱、日柱、時柱を用意する

命式を作成する下準備として、「年」「月」「日」「時」の干支を書き込む為のヘッダーを用意します。これを書き込まないと、例えばどれが「年」でどれが「日」なのかわからなくなってしまいますので、地味ながらも大事です。

時 日 月 年

一般的にこのように配列されます。

干支は一般的に縦書きで記され、それぞれ「年柱(ねんちゅう)」「月柱(げっちゅう)」「日柱(にっちゅう)」「時柱(じちゅう)」と呼ばれます。

STEP5:万年暦を開く

ここでは私が使っている東洋書院の万年暦をもとに紹介しますが、万年暦によって、見方が異なるかもしれません。万年暦のガイダンスに目を通し、ローカルルールを把握しておきましょう。

STEP6:年のページを見て年の干支を紙に書き込む

例題では1985年生まれの男性ですので、1985年のページを開けます。1985年の干支は乙丑であることがわかります。

命式の年柱に「乙丑」と書き込みます。

ここで注意しなければならないのは、同じ1985年生まれであっても、乙丑年生まれの人と、甲寅年生まれの人に分かれるという事です。一般的に四柱推命における年の始まりは立春とされており、本サイトでもこれを採用していますので、立春より前に生まれた人の場合は前の年のページで干支を確認しなければなりません。

例えば、1985年の立春は2月4日の6時12分です。2月5日生まれの人はそのまま乙丑年になります。対して2月3日生まれの人は、1985年の干支ではなく、1984年の干支をチェックします。すなわち乙丑年ではなく、甲子年になります。

STEP7:月の列を見て月の干支を紙に書き込む

例題では1985年9月24日生まれですので9月の列をチェックします。9月の干支は乙酉となっています。

なお、ここでも月の変わり目に注意しなければなりません。

ほとんどの四柱推命の教科書で月の変わり目を節気としています。1985年の乙酉月は、9月8日1時52分から10月8日17時24分までなので、9月24日は乙酉月になります。

命式の月柱に「乙酉」と書き込みます。

ここでも注意として、例えば9月7日生まれの人の場合、9月であっても、8月の列を見なければなりません。すると9月7日は甲申月になります。

同じ9月であっても、生まれた日によって干支の月は変わりますので注意が必要です。

STEP8:日の行を見て日の干支を紙に書き込む

次に、先ほど見た9月の列から24日を探します。万年暦によると、24日は丙寅です。

命式の日柱に「丙寅」と書き込みます。

ここでの注意としてはSTEP3で補正した日付で見なければなりません。もし誕生日が24日でも、補正後の誕生日が25日になる場合は25日の干支をチェックしなければなりません。母子手帳に記されている誕生日はあくまでも日本標準時および平均太陽時に基づくもので、仮のものです。補正した誕生日が真の誕生日ですので、注意が必要です。

また本サイトでは夜の0時をもって日付を変更しますので、補正後の時刻が0時を過ぎた場合に日付を変更します。23時台であれば、日付はそのままです。

面倒かもしれませんが、四柱推命では日付が変われば、判断が180度変わることもあります。再三再四いいますが、時刻の補正は完全な命式を得るためには避けて通る事が出来ないプロセスなのです。

STEP9:時干支算出表を使って、時刻の干支を紙に書き込む

時刻を知る際は、時干支算出表を使う必要があります。万年暦にも時干支算出表は付属していますが、ここでは筆者オリジナルのものを掲載します。

時干支算出表

戊・癸の日 丁・壬の日 丙・辛の日 乙・庚の日 甲・己の日 時間(時)
壬子 庚子 戊子 丙子 甲子 23-1
癸丑 辛丑 己丑 丁丑 乙丑 1-3
甲寅 壬寅 庚寅 戊寅 丙寅 3-5
乙卯 癸卯 辛卯 己卯 丁卯 5-7
丙辰 甲辰 壬辰 庚辰 戊辰 7-9
丁巳 乙巳 癸巳 辛巳 己巳 9-11
戊午 丙午 甲午 壬午 庚午 11-13
己未 丁未 乙未 癸未 辛未 13-15
庚申 戊申 丙申 甲申 壬申 15-17
辛酉 己酉 丁酉 乙酉 癸酉 17-19
壬戌 庚戌 戊戌 丙戌 甲戌 19-21
癸亥 辛亥 己亥 丁亥 乙亥 21-23

例題では14時20分生まれでした。生まれ日の干支は丙寅日でしたので、「丙・辛の日」の列を見ます。次に「13-15(時)」の行を見れば乙未と書かれています。

命式の時柱に「乙未」と書き込みます。

STEP10:完成 – 命式を眺めてみる

以上で基本的な命式が完成しました。

完成した命式を眺めて見ましょう。初心者の方はこの八つの文字がいったい何を表しているのか全くわからないでしょう。

岸本和寿
1985年9月24日14時10分(補正時刻:14時20分)
大阪府大阪市

また、四柱推命を勉強したことがある人は、これが完全な状態の命式とは思わないでしょう。

これはあくまで最も基本的な命式になります。

八文字の漢字で構成されるからこれを八字ともいいます。訓練を積めばこの八字を見ただけで、ある程度の判断はできるようになります。

最終的にはここへさらに五行、六神の配置、格局、用神、喜神、忌神、神殺といった情報、さらに大運表などを肉付けしていく中で、命式の特徴や具体性が浮き彫りになっていきます。

この、たった八文字の命式の意味を理解する為に、これから様々な理論をインプットしなければなりません。ここからが本番になります。

命式の作成方法を説明する為に、この記事では1万字以上を費やし、各プロセスの背景に存在する理論的裏付けを含めて説明しました。

それなりの文字数になったので、命式作成は面倒な作業だという印象を与えてしまったかもしれませんが、本によっては命式作成の部分は1000文字に満たない簡単な説明のみに留めている本も多くあり、四柱推命の命式作成は作業としては数ある占術の中でも非常にお手軽で簡単な作業だといえます。慣れれば1分で作ることが出来ます。

これだけの文字数を費やして理論武装に徹底したのは、命式作成の理論を理解しているかしていないかで、実際に四柱推命を実践した時に判断の精度が変わってくるからです。

この記事を参考に、是非ご自身の命式を作ってみて下さい。


さて、一般的な四柱推命の教科書では命式作成の前に陰陽五行説の基礎ガイダンスがあるのが普通ですが、本サイトではやや変則的な流れとして、始めに命式を作り、そこから徐々にその謎解きをしていく方向性で進めていきます。

次回は四柱推命の考え方のベースになっている、陰陽五行説について解説します。

四柱推命の教科書

完全独習可能なテキストとして、続きは絶賛執筆中です。

四柱推命の必須本

かずひさ

かずひさ

宗教家。 代々神主の家系に生まれ、とある神社の神主として神に仕えている。 また、高野山真言宗にて得度した行者でもある。 10代の頃から霊聴を聴くようになる。 2016年、自己流でのチャクラ修行に失敗し、その報いとしてバセドウ病を患い、発見された時は末期で死の寸前だった。 何がダメだったのかを自分なりに反省し、気を取り直して修行を再開。 2016年11月、止観瞑想の末、身体の浮遊を体感、赤い曼荼羅を見る。 2017年4月大日如来の教えに導かれて悟りを開き、「空」の意味を理解する。 それは単に「無」の意味ではない事がわかった。 また、私が開いた悟りは仏の悟りのほんの第一段階に過ぎない事も理解している。